皆さん「すごい漢字」というとどんな字を思い浮かべますか?
「すごい漢字」という歌もあるそうですね。
その歌詞には「躑躅」や「背黄青鸚哥」といった漢字が出てくるそうです。
それぞれ「つつじ」「せきせいいんこ」と読むそうです。漢字で書かれているのを見る機会はなかなかない!
また画数が多い漢字として「たいと」「びゃん」といった漢字はよく挙げられています。
2019年4月1日、新元号「たいとびゃん」が発表され、幾多のシステムが破壊された。 #源ノ角ゴシック #CJK統合漢字拡張G pic.twitter.com/TfwAQ9OzhW
— Yusuke Terada (@doraTeX) March 26, 2019
それぞれ84画・58画だそうです。これも確かに凄い!
しかし、私がここで挙げたい「すごい漢字」は、これらとはまた違ったすごさを持っています。
そいつがこれだ!!
は?
いやいや、ちょっと待って。お前ホントに漢字か?
4画の草冠は、さほど珍しいわけではありません(よく見ると真ん中で分かれており、「十」が横に2つ並んだ形になっています)。
しかし、その下のやつはなんですか?
私が知っている漢字とずいぶん違う……
漢字を書くときに気をつけた方が良いと言われていた、「とめ・はね・はらい」はどこに行ったんだ。
今日はこの漢字をネタにこのような話を書いてみるつもりです。
- この漢字は何なのか
- 私はどのようにしてこの漢字と出会ったのか
- 親字・正字と外字・異体字に関する真面目な豆知識
なお、私は司法書士という資格を持つ、不動産や会社手続の専門家です。
ショウ先生という名前でこのブログを運営していますが、本名は永田翔と申します。
漢字などの専門家ではありません。
その私が、どのようにしてこの漢字に出会ったのかも、書いていきますね。
事務所は神奈川県藤沢市、いわゆる湘南地域にありますが全国どちらでも対応可能です。
北海道から沖縄県まで登記手続の申請をしたことがあります。
ご依頼・ご相談はこの記事のコメント欄やお問い合わせページから、お気軽にどうぞ。
目次
この漢字は「葵」(ウソでしょ!?)
もったいぶらずに正体を書いてしまうと、この漢字は「葵」です。
異体字というやつですね
漢字の字体のうち標準字体以外のもの。異体文字、別体字、変体字ともいう。
コトバンク:日本大百科全書(ニッポニカ)「異体字」の解説
人名や地名に使われている字が、辞典に載っている字と少し違うことがありますよね。
例えば「ワタナベさん」というお名前は一般的な「渡辺」のほか、「渡邊」「渡邉」といった字があります。
左の「渡邊」は「方」という字が入っていて、右の「渡邉」は「口」という字が入っています。
言われてみれば、どことなく形には面影もあるが……「さすがにこれを”葵”と言い張るのは、無理があるのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
法務省の「戸籍統一文字情報」が証拠です!
法務省のWebサイトに「戸籍統一文字情報」というページがあります。
そこで先ほど説明をした「異体字」について、その「親字・正字」を確認できます。
画像の下に「親字・正字」と書かれていますね?
上の「異体字」が、法律上は下の「親字・正字」と同じ文字として扱われるということを表しています。
ところで草冠の形には、お気づきになられましたか?
この字は、草冠が左右に分かれて4画になっているもの。つまり「葵」とは少し違う字なんですね。
しかしご安心ください。次の画像をご確認ください。
ここで皆さんが見たことがある「葵」という字が、「親字・正字」として出てきました。
あの「すごい漢字」は「草冠が4画の葵」と同一文字であり、「草冠が4画の葵」と「普通の葵」は同一文字なのです。
つまり、あの「すごい漢字」と「普通の葵」は同一文字ということです。
A=B、B=Cなので、A=Cという感じですね。
漢字を間違えられない仕事を通して、この漢字と出会った
冒頭で私は「司法書士」という仕事をしていると書きました。
司法書士は、不動産を購入した方の住所・氏名を、法務局というところに届け出る仕事をよくします。
お名前やご住所に珍しい漢字や異体字が入っている方もいらっしゃいますが、一文字も間違えずに登記しないといけません。
皆さんも、自分が自宅などの不動産を購入した際に、名前の字が間違って登録されていたりしたら嫌ですよね?
依頼者の方のお名前に見慣れない漢字があれば、法務省のWebサイトにある「戸籍統一文字情報」で確認をするようにしています。
「部首が草冠で、画数が何画の漢字」といった形で探しているときに、偶然あの字と出会ったのです。
ご興味をお持ちいただいた方のために、司法書士の仕事をもう少し具体的に説明
ご興味がない方は読み飛ばしてください。
ほとんどの方は普段「司法書士」と関わることはあまりないと思います。
あるとすると、ご自宅の購入・売却時、ご実家の相続時、住宅ローンの借り換えや完済時などが多いでしょうか。
どのような仕事なのかイメージがわかないという方も多いと思いますが、この「司法書士」の業務として代表的なものが「不動産登記」という手続です。
「司法書士」は、不動産の名義変更(相続・売買・贈与)などの手続をする士業です。
※士業というのは、弁護士さんや税理士さんのように、名前に「士」という文字が入っている仕事のことです。
例えば皆さんが不動産を購入すると、不動産屋さんまたは銀行から紹介された司法書士が、登記手続をします。
その不動産の登記簿に書かれている”所有者”の欄に、購入した方の住所・氏名を記載してもらうための手続をします。
この手続を不動産登記手続(売買による「所有権移転登記」)と言います。
私も自分がこの仕事をする前に、司法書士に会ったことはなかったと思います。
自宅を購入する際には、新築マンション業者さんから紹介された司法書士の方に、報酬をお支払いして登記手続きを依頼しました。
この漢字とこの漢字は同じ字?それとも違う字?
ところでこの異体字というのは、必ずしも法律上同じ文字として扱われるわけではありません。
例えば「塚」という字と「琢」という字について、簡単に説明してみます。
「塚」とその異体字
横浜市に戸塚区という区があります。
この戸塚の”塚”という字は、正しくは一般的なフォントの文字に一本線が入っています。
しかしご安心ください。この一本線が多い「塚」の字と、普段よく見る「塚」の字は、法律上同じ文字として扱います。
「当たり前じゃないの?」と思われたあなた……この後で紹介する文字もぜひ見てください!
「琢」とその異体字
タクヤさんというお名前などに使われる、「琢」という字がありますよね(例えば「琢哉」さん)。
この「琢」の文字にも、一本線が多いものがあります。
そして、こちらが一般的なフォントに含まれる琢の字。
この一本線が多い「琢」の字と、普段よく見る「琢」の字は、法律上同じ文字として扱い……ません!
なんでなのこれ……
ここまで書いておいてなんですが、残念ながら理由は私も知りません。漢字の由来などによるのでしょうか。
証拠画像
そんな馬鹿なことがあるか!と思われる方もいそうなので、念のため証拠というか、根拠になる画像を貼っておきます。
どちらの文字にも「親字・正字」がありませんよね。
どちらか一方がもう一方の「親字・正字」というわけではないことがわかります。
まとめ
- 画像を貼った謎の漢字の正体は「葵」の異体字
- 司法書士という仕事のため、戸籍統一文字情報を閲覧していて、この字と出会った
- 「少し違うが同じ文字として扱う字」もあれば、「少し違うだけで違う字として扱う字」もある。
半分ネタ記事で申し訳ありません。
不評な場合は記事を削除するかもしれません……
私は司法書士なので不動産や会社の手続きに精通しています。
お役に立てそうでしたらお気軽にご連絡ください。
あなたがまだ知らない、最高に変で面白い漢字の記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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