【親から子】贈与による家の名義変更を司法書士が解説【夫から妻】

【親から子】贈与による家の名義変更を司法書士が解説【夫から妻】

親御さんや配偶者の方から、土地や建物の贈与を受けたいという方。
仕事で不動産を扱っているわけでもなければ、色々とわからないことがあると思います。

土地や建物の贈与による名義変更について、私がよくいただく質問は次のようなものです。

  • 土地や建物の名義変更ってなに?どこでやるの?
  • 必要書類は、誰の何がいるの?
  • 贈与税って言葉を聴いたことがあるけど、税金はかからないの?
  • 税金がかかるとすれば、いくらぐらいかかるの?
  • 名義変更の手続は自分でもできるの?
  • かかる費用はいくらぐらい?
  • かかる期間はどれぐらい?

不動産の贈与なんて、あげる側ももらう側も、一生にそう何度もあることではありません。
不安や疑問があるのは当然です。

ちなみに私も自分の仕事以外のことは全然わかりません(不動産の名義変更については、かなり詳しいですよ。弁護士さんや税理士さんからも、よくご質問をいただくぐらいです。)。

この記事を読めば、贈与による名義変更の手続について、手続の方法・税金・かかる費用などが一通りわかると思います。

ショウ先生

この記事を読んでくださっても、まだわからないことがあれば、お気軽にお問い合わせください。

私は司法書士・行政書士・土地家屋調査士・宅地建物取引士の資格を持つ、不動産に関する手続の専門家です。

ショウ先生という名前でこのブログを運営していますが、本名は永田翔と申します。

事務所は神奈川県藤沢市、いわゆる湘南地域にありますが全国どちらでも対応可能です。
実際に北海道や沖縄県にもお客様がいらっしゃいます。

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目次

土地や建物の名義変更は所有権移転登記。法務局で行う手続です。

一般的に贈与や売買で所有者が変わることを「名義変更」と言いますよね。
しかしこの手続は、正しくは「所有権移転登記」と呼びます。

「所有権」とは、読んで字のごとく、何かを「所有する権利」のことです。
その「所有する権利」を移転するので、「所有権移転」と言います。

では「登記」とは何でしょうか。Wikipediaでは次のように説明されていました。

登記とは、日本の行政上の仕組みのひとつであり、個人・法人・動産・不動産・物権・債権など実体法上の重要な権利や義務を、不動産登記法や商業登記法などの手続法により保護するとともに、円滑な取引を実現する、法の支配並びに法治国家を支える法制度の一つである。

Wikipediaより

法務局では、法務省の事務を取り扱っています。登記もその一つです。

不動産の登記は、その土地や建物が存在する場所が管轄となります。
管轄法務局の場所がわからない方は、下記URLから確認できます。

法務局Webサイト「管轄のご案内」

ショウ先生

後述しますが、ご自身で手続をされたいという方は、予約を取ってから法務局に行ってくださいね。

必要書類には役所で取得するものもあります。

必要書類は次のとおりです。

贈与者(あげる人)
  • 権利書(対象となる不動産の登記済証・登記識別情報通知)
  • 印鑑証明書(登記申請の時点で、発行日から3か月以内のもの)
  • 評価証明書(最新年度のもの)
  • 前住所記載の住民票(不動産を取得したときから、住所が変わっていない場合は不要)
    ※戸籍附票でもかまいません
  • ご実印
受贈者(もらう人)
  • 住民票(世帯全員のものでも、受贈者のみが記載されたものでも大丈夫です)
  • ご印鑑(認印でもご実印でもかまいません)
ショウ先生

印鑑証明書・評価証明書は役所で取得できますね。

評価証明書も基本的には役所ですが、東京23区は都税事務所になるなど例外もあります。

贈与税がかからない方法もあります

基本的には贈与する土地や建物の価値が110万円を超えている場合には、贈与税と呼ばれる税金がかかります。

なお土地の場合は路線価・建物の場合は評価額を元に算定していきます。

土地の路線価は下記のサイトで確認できます。
建物の評価額は、評価証明書・公課証明書・納税通知書等で確認できます。

国税庁Webサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」

しかし例外的に贈与税がかからない場合もあります。

実際に贈与税がかからないようになる特例と、一見使えるようにも見えて、実はそうではない特例について解説していきます。

なお私は税理士ではないため、一般的な説明に留めております。
国税庁Webサイトの該当ページへのリンクを貼っておりますので、詳細はそちらでご確認ください。

また当事務所に手続のご依頼をいただく場合は、税理士さんに確認をしながら進めております。

ショウ先生

手続前後の相談などについても、ご希望に応じて税理士さんをご紹介させていただいております。


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親から子への贈与:相続時精算課税制度

やや正確さを欠きますが、ザックリ説明すると「60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与する場合」に使える制度です。

2500万円まで、贈与税がかからずに贈与ができるという制度になります。

ただし「相続時精算課税」という制度の名前通り、贈与した方が亡くなられた後に相続財産にそれらの財産があったものとして精算を行います。

ショウ先生

贈与の際と、贈与者(あげる人)について相続が発生した際に、税務上の手続が必要となります。

国税庁Webサイト「相続時精算課税の選択」

親から子への贈与:住宅取得資金の特例

住宅取得資金を贈与するときに使える特例です。

土地の贈与の際にも使えるのかな?と勘違いされる方・疑問に思われる方もいらっしゃいます。

しかしこの制度は土地を贈与する際には使用できません。
そのためここでは説明を割愛させていただきます。

国税庁Webサイト「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

配偶者間(夫から妻・妻から夫):おしどり贈与

結婚してから20年以上経っているご夫婦が、配偶者に贈与をする場合に使える特例です。

ショウ先生

仲の良いご夫婦のことを、「おしどり夫婦」なんて言いますね。

そこから「おしどり贈与」などと呼ばれることもある特例です。

結婚から20年以上であることのほかにも条件があり、贈与の対象が居住用不動産(または、居住用不動産を取得するための資金)である場合に使える特例です。

すでに住んでいる不動産か、もらった後すぐに住み始めることで、居住用の不動産ということになります。

国税庁Webサイト「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」

贈与税の計算方法はこちらになります

国税庁のWebサイトに計算式が載っています。

国税庁Webサイト「贈与税の計算と税率(暦年贈与)」

なお土地の場合は路線価・建物の場合は評価額を元に算定していきます。

土地の路線価は下記のサイトで確認できます。
建物の評価額は、評価証明書・公課証明書・納税通知書等で確認できます。

国税庁Webサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」

具体的には次のような方法で計算していきます。

具体的な計算方法の例を書いてみます。

なお特例贈与財産にあたる場合がほとんどだと思いますので、そちらの方法で計算します。
特例贈与財産とは「自分が亡くなった場合に相続人となる予定の、20歳以上の方に贈与をする財産」のことです。

該当しない場合は、さらに税率が高くなります。
※詳しくは上記の国税庁Webサイトをご確認ください。

例として、路線価が123,000円/㎡の土地100㎡・評価額5,432,100円の建物を贈与するとします。

土地は路線価×面積で12,300,000円となります。
建物は評価額をそのまま使用するため5,432,100円です。

土地建物で、合計が17,732,100円相当の財産を贈与したことになります。

3000万円以下の財産ですので、税率は45%。
7,092,840円ですが、控除額が265万円ですので、それを引きます。

4,442,840円。これが1,773,100円相当の財産を贈与した場合にかかる贈与税となります。

調べものや書類作成に抵抗のない方なら自分でできるかも

贈与による名義変更(所有権移転登記)の専門家は司法書士です(資格としては弁護士さんも受任できますが、ほとんどの弁護士さんは訴訟関係ほど登記手続には詳しくないと思います。また弁護士・司法書士以外の士業の方は、贈与による不動産登記手続の依頼を受けることは、法律上認められておりません。)

しかし専門家に依頼をするとなると、どうしても報酬がかかってしまいます。

参考までに当事務所では、契約書の作成から登記申請までの手続一式で、金10万円程度の報酬を頂戴しております(事例により多少の増減あり)。

そこで「自分でやれば報酬はかからないよね」と思われる方もいらっしゃると思います。

Webや書籍で調べものをして、書類作成をすることに抵抗のない方であれば、ご自身でも充分できる手続きだとは思います。

とはいえ、一般的に市役所・区役所などで行う住所変更などの手続きと同じような感覚で行くと、面食らうことになると思います。

Webや書籍でお調べになった上で、数回は平日の開庁時間内に法務局に行くつもりでいた方が無難だと思います。

平日の日中に時間を作ることが難しい方や、書類作成などが得意ではないという方は、専門家への依頼を検討された方が良いかもしれません。

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費用(登録免許税)は対象不動産の2%・司法書士報酬は10万円程度

費用(登録免許税)は不動産の2%

贈与による家の名義変更手続はを自分でやったとしても、登記申請をする際には「登録免許税」と呼ばれる税金はかかります。

対象不動産の評価額の2%がかかります。

計算方法は次のとおりです。

対象となる不動産の評価額を合計し、1,000円未満の端数をカット。
その金額の2%から100円未満の端数をカット。

例:12,341,234円の建物と、56,785,678円の土地を贈与する場合。
合計額は69,126,912円で、この1000円未満の端数をカットすると、69,126,000円。
この2%が1,382,520円。その100円未満の端数をカットすると、1,382,500円。

この1,382,500円が、合計69,126,912円の不動産を贈与した場合の、登録免許税となります。

評価額は売買価格などとは異なります。

不動産の評価証明書・公課証明書・納税通知書などに記載されている数字になります(自治体によっては「価格」と書かれていることもあります)。

評価証明書・公課証明書は役所の税務課などで取得できる自治体が多いです。
ただし東京23区内は都税事務所で発行されています。他の一部の自治体でも、例外があるかもしれません。

納税通知書は毎年5月頃に、不動産の所有者の方あてに郵送されてきます。

司法書士報酬は10万円程度

おそらく司法書士に依頼をするのであれば、報酬は10万円程度になるのではないかと思います。

ただし報酬額は一律幾らと決められているわけではないので、その司法書士の方により異なります。

ショウ先生

当事務所の報酬額は約10万円。

たぶん相場ぐらいだと思います。値段で選ぶのであれば、探せばもっと安い司法書士事務所があると思いますよー。

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また案件の内容や不動産の評価額・個数などにもよって、報酬額が変わることが多いと思います。※中には一律何万円という報酬体系の司法書士事務所もあると思います。

司法書士に頼めば申請まではすぐ。終わるまではそこから1週間程度。

贈与による名義変更(所有権移転)の登記手続は、司法書士が取り扱う業務の中では、特別難解なものではなく、一般的な業務に含まれると思います。

ショウ先生

弁護士さんにとっての「よくある訴訟」や、お医者さんにとっての「よくある手術」もそうですが、司法書士にとって一般的だからといって、すごく簡単な手続だとは思わないで下さいね。

司法書士の方の忙しさやスピード感にもよりますが、通常であれば1週間もあれば書類が完成すると思います。
※当事務所ではお急ぎであれば、空き状況にもよりますが、当日・翌日などの書類の準備も対応可能です。

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ただし法的な問題や税務上の問題で検討を要する場合などは、その内容によっては時間がかかるかもしれません。

書類に署名・押印をし、必要な書類を準備して預ければ、登記の申請がされるはずです。

申請をした後は、法務局の混み具合などにもよりますが、1週間程度で登記が完了すると思います

その後、登記完了後の書類が送付されるまでには、もう少し時間がかかると思います。急ぐ事情がある場合などは、司法書士の方に「なるべく急ぎで納品してほしい」と、ちゃんと伝えるようにしましょう。

まとめ

まとめます。

  • 土地や建物の名義変更は「所有権移転」という手続で「法務局」で行います。
  • 必要書類の一覧はこちらに記載のとおり。
  • 原則として贈与税がかかるが、要件を満たせばかからない場合もある。
  • 税金の計算方法は国税庁のWebサイトに記載がある。
  • 自分でもできるが、それなりには難しい。
    調べものや書類作成が苦にならない方なら、挑戦してみても良いかも。
  • 自分でやるなら不動産評価額の2%を登録免許税として法務局に納める。
    司法書士に依頼するなら約10万円程度(依頼する司法書士に要確認)
  • 1週間もあれば準備はできる。
    申請からさらに1~2週間程度で手続が完了することが多い。

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湘南の不動産・相続手続の専門家、ショウ先生こと永田翔でした。

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