【不動産手続専門家が解説】不動産売却時に売主にかかる司法書士費用

【不動産手続専門家が解説】不動産売却時に売主にかかる司法書士費用

土地や建物などの不動産を売却したとき、売主にも費用はかかるのでしょうか?

売買契約書には「所有権移転に必要な司法書士費用は買主が負担する」と書かれていることが多いと思いますが、実は売主が負担する司法書士費用もあります。

この記事を読めば、不動産売却時に売主が負担すべき、司法書士の費用がわかります。

ショウ先生

まったくかからない場合もあります。

具体的には、住所氏名変更・抵当権などの抹消・相続登記の必要がなく、権利書(登記済証・登記識別情報通知)が手元にあれば、売主には司法書士費用がかかりません。

私は司法書士・行政書士・土地家屋調査士・宅地建物取引士の資格を持つ、不動産手続の専門家で、永田翔と申します。

ショウ先生という名前でこのブログを運営しています。

事務所は神奈川県藤沢市、いわゆる湘南地域にありますが全国どちらでも対応可能です。
実際に北海道や沖縄県にも登記申請をしたことがあります。

ご依頼・お問い合わせはこちらから

  • 住所や名前(苗字など)に変更がある場合
  • 住宅ローンの抵当権抹消などがある場合
  • 相続で不動産を取得したものの、その登記が済んでいない場合
  • 権利書(登記済証・登記識別情報通知)を失くした場合
  • 司法書士報酬以外に売主が負担すべき費用
ショウ先生

どのような場合に幾らぐらいの費用がかかるのか、順番に説明をしていきますね。

目次

住所や名前(苗字など)に変更がある場合

登記簿に記載されている住所氏名から、住所や名前に変更がある場合「所有権登記名義人住所(または氏名)変更(または更正)」登記というものが必要となります。

報酬はだいたい1~2万円程度。また不動産1つあたり1000円の登録免許税(自分でやったとしてもかかる、法務局に納める金額)がかかります。

ショウ先生

例えば土地・建物が一つずつで登録免許税2000円、仮に報酬が11000円(税込)とすると合計13000円程度かかります。

報酬を払いたくないので自分で登記をしたいということであれば、残金決済(引き渡し)の日までに登記完了させれば問題ないと思います。
登記は申請すればその日に終わるというものではないので、管轄法務局の完了予定日を確認し、余裕を持って申請してください。

それが難しいようであれば、基本的には所有権移転登記を担当する司法書士さんに、費用を払って依頼する形になると思います(知り合いに司法書士がいる場合など、その先生に住所変更登記だけ依頼することも不可能ではありません)。

なおマンションの場合は、専有部分(部屋)の他に、底地についても一筆あたり1000円かかります。
普段は底地が何筆かというのを意識することはないと思いますが、大きな団地などであれば、底地が30筆あるような物件もあります。
この場合は建物1と土地30ということになり、免許税が31000円もかかってしまいます。

ショウ先生

具体的にどのような場合に住所や氏名に変更がでるかは、だいたいイメージがわくでしょうか。

引っ越しをした場合、住居表示等が実施された場合(「〇〇町〇番地」という住所から「〇〇町〇丁目〇番〇号」という住所に変わった場合)は、住所変更登記をします。
なお引っ越しをしておらず、住居表示等により住所が変わった場合は、登録免許税は不要となります。

結婚や離婚で氏名が変わった場合は、氏名変更登記をします。

また前に登記をしたときに、住所や名前の記載が間違っていた場合は更正登記をすることになります。

住宅ローンの抵当権抹消などがある場合

住宅ローンなど、不動産を担保にお金を借りていた場合、その担保権である抵当権(または根抵当権)などを抹消しないといけません。

これを「(根)抵当権抹消登記」と言います。

報酬はだいたい10000~30000円程度。また不動産1つあたり1000円の登録免許税(自分でやったとしてもかかる、法務局に納める金額)がかかります。

抵当権の他に、買戻権などの抹消をする場合もありますが、費用については概ね同程度だと思います。

ショウ先生

所有権登記名義人住所変更と同じく、土地・建物が一つずつで登録免許税2000円、仮に報酬が16500円(税込)とすると合計18500円程度かかります。

なお所有権登記名義人住所変更登記の場合と同じく、マンションの場合は、専有部分(部屋)の他に、底地についても一筆あたり1000円かかります。

普段は底地が登記上は何筆に分かれているのかというのを意識することはないと思います。大きな団地などであれば、底地が30筆あるような物件もあります。

ただし所有権登記名義人住所変更登記の場合と異なり、不動産が21個以上ある場合でも登録免許税の上限が20000円という規定があります。
この場合は建物1と土地30ということになっても、免許税は20000円となります。

ショウ先生

また、自分で登記をしたいと言っても、完済が当日になるようであれば、おそらく「司法書士にやってもらわないと安心できない」と言われてしまうと思います。

しかし、完済をしない限りは、銀行から抵当権抹消に必要な書類を受け取ることはできません。

そのため、不動産の売却代金以外の資金を使って、事前に完済できる場合でないと、自分で登記をすることができない(許されない)可能性が高くなります。

自分で登記を申請する場合は、残金決済(引き渡し)の日までに登記完了させれば問題ないと思います。

登記は申請すればその日に終わるというものではないので、管轄法務局の完了予定日を確認し、余裕を持って申請してください。

また、銀行が書類を準備するにも、通常は最短でも1~2週間程度は時間がかかります。
その日数の分も余裕を見てください。

それが難しいようであれば、やはり所有権移転登記を担当する司法書士さんに、費用を払って依頼する形になると思います。

相続で不動産を取得したものの、その登記が済んでいない場合

相続登記が済んでいないということは、登記簿上の所有者はまだ亡くなられた方(=被相続人)のままということだと思います。

このままでは、売買による所有権移転登記を行うことはできません。

相続登記についても自分ですることができますが、関係者の都合・関わる企業のマニュアルなどにより、いつまでに終わらせなければいけないかが変わってきます。

ご自身で相続登記をする場合の必要書類等について解説した記事はこちらです。

一番長い猶予を与えらえる場合では、不動産売買の残金決済(引き渡し)時までに申請書の用意ができていれば問題ありません。
この場合は、司法書士の方が作成した所有権移転の登記申請書と一緒に出すということになります。

次に長い猶予が与えらえる場合では、不動産売買の残金決済(引き渡し)時までに相続登記を完了していれば良いという場合もあります。
買主さんが銀行などで融資を受けて購入される場合は、融資先銀行から「残金決済の前日までには相続登記が終わっていないと融資実行ができない」と言われることが多いと思います。

よく見聞きする中で、最も早い時期に相続登記を終えないといけないのは、「売買契約を結ぶときまでに少なくとも相続登記の申請が済んでいなければならない」というものだと思います。
一部の大手仲介業者などが、そのような社内ルールを設けています。

残金決済時と売買契約時の違いがわからない方には、こちらの記事が参考になるかもしれません。

あまり聞いたことはありませんが、売買契約や媒介(仲介)の契約までに相続登記を完了してほしいというケースもあり得るかもしれません。

ショウ先生

相続登記がお済みでない場合は「いつまでに済ませる必要があるのか」について、契約の相手方などに、早めに確認しておいた方が良いでしょう。

急ぎの相続登記などのご相談・ご依頼はこちら

権利書(登記済証・登記識別情報通知)を失くした場合

いわゆる権利書を紛失した場合、それに代わる書類を作成する費用を司法書士に支払うことになります

本人確認情報作成料と言います。5~10万円程度の費用がかかることが多いです。

ショウ先生

某大手仲介業者から、取引先司法書士事務所の平均報酬を教えてもらったことがあります。
そこには平均8万円(税別)と書かれておりましたので、88000円程度の費用がかかることになります。

なお、これを自分で作成することはできません。
司法書士または弁護士が登記申請を代理する場合に、作成することができる書類です

仮に知人に司法書士などの専門家がいる場合でも、その方に登記を依頼できる場合でなければ、権利書に代わる書類の作成のみをお願いすることはできません。

ただし、公証役場にいる公証人に依頼することは可能です。
この場合は費用は数千円程度で済みます。

ショウ先生

おって当ブログでも記事を作成したいと思いますが、ひとまず同業者の方のWebサイトにリンクを貼らせていただきます。

司法書士法人アストラ様Webサイト内「本人確認情報②」

公証役場には、基本的に平日の午前9時~午後5時に予約を取って訪問しないといけません(昼休みの午前12時~午後1時は対応不可)。
※出張費等を支払えば、公証人の先生に出向いてもらえることもありますが、要相談です。


そのため平日がお仕事で、休みを取りづらい方にとっては、少し難しいかもしれません。
また場合によっては数週間先まで予約が取れないこともありますので、日数に余裕を持った対応が必要です。

ちなみに権利書の正式名称を、登記済証または登記識別情報通知と言います。
※昔に発行された法務局の判子が押されたものを登記済証と呼び、比較的近年に発行された暗証番号のようなものが記載されたものを登記識別情報通知と呼びます。

そして司法書士が作成する、権利書に変わる書類を「本人確認情報」と言います。

司法書士報酬以外に売主が負担すべき費用

この記事の本題からは逸れますが、下記のような費用も売主が負担すべき費用となります。

仲介業者がいる場合、仲介手数料

こちらのサイトの自動計算がわかりやすいと思います。

smlt.jp

測量が必要な場合、測量士または土地家屋調査士の費用

測量の費用はケースバイケースですが、10数万円から数10万円程度かかると思います。

測量の結果、登記簿から面積が大幅に変わる場合、地積更正登記と呼ばれる手続も必要です。

当事務所には測量・土地家屋調査士部門もありますので、見積等ご希望の方はお問い合わせください。

測量関係のお問い合わせはこちら

更地引き渡しが条件で、建物滅失登記が必要な場合、その費用

建物滅失登記とは、建物を解体した後、その建物の登記簿を閉鎖する手続です

だいたい5万円程度で対応してくれる土地家屋調査士が多いと思います

滅失登記のお問い合わせはこちら

不動産譲渡所得税

不動産を売却したことで利益が出ている場合は、その利益に対する税金がかかります。

不動産の購入・建築等に要した費用は、売却代金から差し引いて利益を求めます。

詳しくは国税庁のWebサイトをご確認ください。

国税庁Webサイト:土地や建物を売ったとき

また税理士のご紹介をご希望でしたら、お気軽にお申しつけください。

税理士紹介のお問い合わせはこちら

まとめ

まとめます。

  • 住所や名前(苗字など)に変更がある場合:実費は不動産1つあたり1000円
    ※司法書士に依頼する場合、別途1~2万円(税別)程度の報酬
  • 住宅ローンの抵当権抹消などがある場合:実費は不動産1つあたり1000円
    ※司法書士に依頼する場合、別途1~3万円(税別)程度の報酬
  • 相続で不動産を取得したものの、その登記が済んでいない場合:
    金額についてはケースによって大きく異なるため、下記の記事を参照。
    相続登記に関する、当ブログ内の記事
  • 権利書(登記済証・登記識別情報通知)を失くした場合:
    ※司法書士に依頼する場合、平均8万円(税別)程度の報酬
    ただし平日日中に時間が取れる場合、公証役場で手続する方法も
  • 司法書士報酬以外に売主が負担すべき費用:
    上で解説しているので、ご興味ある方はご覧ください。

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お問い合わせページ

湘南の不動産手続専門家、ショウ先生こと永田翔でした。

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