「え?株式会社と同じで代表取締役でしょ?」と思った方もいそうですね。
はい。半分は正解です!しかし半分は間違いです!
正しい答えは「有限会社の代表者は、代表取締役の場合と取締役の場合がある。」です。
この記事を読むと、こんなことがわかります。
- 有限会社の代表者が、代表取締役になる場合・取締役になる場合の違い
- 会社登記簿の代表者の役職が、「取締役」となっている場合に、役職を「”代表”取締役」にする方法
なお、私は司法書士の資格を持つ、会社・法人手続の専門家です。
ショウ先生という名前でこのブログを運営していますが、本名は永田翔と申します。
有限会社に関する登記の専門家は司法書士です。行政書士や税理士の先生は、会社の登記を申請することはできません!
事務所は神奈川県藤沢市、いわゆる湘南地域にありますが全国どちらでも対応可能です。
実際に北海道から沖縄県まで設立登記の申請をしたことがあります。
ご依頼・ご相談はこの記事のコメント欄やお問い合わせページから、お気軽にどうぞ。
目次
株式会社の場合は?
ここまで読んで「え?どういうこと?代表ってついてない取締役が代表のことなんてあるの?」
と疑問をお持ちになっている方。
そうですよね。それが普通の感覚です。
株式会社の場合であれば、代表者は必ず代表取締役ですからね。
株式会社の場合は代表取締役が必ずいます。そしてその方が代表者、つまり代表権を有します。
契約書などには「株式会社〇〇〇〇 代表取締役 法務太郎」といった形で記載します。
それでは有限会社の場合はどうでしょうか?
有限会社の場合は?
有限会社の場合、取締役が2人以上いる場合は代表取締役を決められます。
このような場合には株式会社と同じく、代表とついていない普通の取締役の方には代表権がありません。
しかし取締役が1人しかいない有限会社には代表取締役はいません。
1人しかいない取締役には代表という文字がありませんが、その方が代表者です。
また取締役が2人以上いる場合であっても、全員が代表権を持っている場合にはやはり代表取締役はいません。
全員が取締役という役職であり、その全員が代表権を持っているということです。
言い換えると、有限会社には「代表権のない取締役がいる場合にだけ、代表取締役がいる」ということです。
代表権のない取締役がいる場合、代表権のある取締役だけを代表取締役と呼びます。
そうでない場合には取締役の全員が、取締役という呼び名なのに代表権があるということです。
契約書などには「有限会社〇〇〇〇 取締役 法務太郎」といった形で記載します。
ちょっとややこしいので、後日、図を使って整理してみたいと思います。
代表者の役職を「代表取締役」にしたいときは、どうすれば良い?
有限会社の代表者が「取締役」になってしまったとき、「代表取締役」を置くにはどうすれば良いか。
そのためには代表権のない「取締役」を最低1人入れることで、「代表取締役」という役職を使うことができます。
実際に、親・子供・配偶者などに取締役に入ってもらって、社長を代表取締役にすることがあります。
役員報酬などは、払っても払わなくてもかまいません(笑)。
ちなみに当事務所にご依頼をいただく場合、手続の報酬は2万5000円(税込)です。
ちなみに会社を株式会社にするという方法もありますが、手間や費用を考えると「代表者の肩書を”代表取締役”にしたい」という理由だけで行うことは、あまりオススメいたしません。
他にも株式会社にしておきたい理由があり、「これを機にやってしまおうかな」ということであれば、手続きを検討しても良いと思います。
会社の代表者は何を見ればわかる?
ところで、だれが会社の代表者かというのは何を見ればわかるのでしょうか?
会社のWebサイトや名刺?
それも間違いではありませんが、そこに書いてあることが本当かどうかはわかりませんよね。
会社の代表者は法務局で取得できる書類、全部事項証明書や一部事項証明書を見ればわかります。
商業登記簿謄本とか会社(の)謄本という呼び方をする方も多くいらっしゃいますね。
実際にあったケース(有限会社の代表者からの質問)
有限会社の社長から、このようなご質問をいただいたことがあります。
「取締役が1人辞めて、役員が自分だけになったんだ。そうするといままで俺が代表取締役だったのに、いつの間にか俺は取締役になってたんだ。俺が代表なのに、これってどういうことなの?」
このようなご質問は、他の有限会社の社長さんからも、しばしばいただいております。
最初から読んでくださった方には答えがわかりましたか?
取締役が1人しかいない有限会社には代表取締役はいないので、これで正常なのです。
呼び名が取締役になりましたが、もちろんこれまでどおりその方が代表者です。
実際にあったケース(某ハウスメーカー社員からの質問)
もう1人はあるハウスメーカーの方でした。
「有限会社と契約をすることになったのですが、役職に取締役って書いてあるんですよね。
その人は他に役員はいないから自分が社長だっていうんですけど、この人に契約してもらって大丈夫なんですか?」
これもその取締役の方が代表者ということで間違いありません。
その有限会社と契約をするということであれば、もちろんこの方が契約相手となる有限会社の代表となります。
まとめ
- 有限会社に取締役が何人かいるときは、そのうちの1人を代表取締役にすることができる。
- 有限会社に取締役が1人しかいないといきは、その人が「取締役」という役職の代表者である。「代表取締役」にはなれない。
- 有限会社で「代表取締役」という役職を使いたい場合、代表権のない「取締役」を最低1人入れないといけない。
有限会社は会社法施行後に新たに設立できませんが、それまでに設立されていた有限会社はそのまま活動できます。
※有限会社を株式会社に変更する手続もあります。
定款の変更などの手続については、下記の記事もよくお読みいただいております。
今も日本には多数の有限会社がありますので、「取締役が代表者の場合もある」ということは知っておいて損はありません
ちなみに2006年当時、全国に約189万社の有限会社があったようです。新しく設立することはできないので、解散や株式会社への組織変更などで、少しずつ減っているはずです。
私は司法書士なので会社の手続きにも精通しています。
お役に立てそうでしたらお気軽にご連絡ください。
有限会社の代表者はだれだ?の記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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