ショウです。神奈川県藤沢市の不動産手続専門家です。
最終学歴は高校中退ですが、司法書士・行政書士・土地家屋調査士・宅地建物取引士の資格を持っております。
目次
この記事では、そんな不動産手続の「プロ」が、「不動産会社での独立開業をしたい」という方のために、必要な手続きを解説いたします
- 会社設立の知識ゼロでも
- 必要な手続が漏れなく
- できるだけわかりやすいように説明します
前回の記事では、不動産会社を作るために必要な手続を、大きく3つに分けてご紹介いたしました。今回そのうちの1つ、「会社設立」について、もう少し詳しく説明していきたいと思います。
また私の事務所でも、司法書士・行政書士として、会社設立などの手続きを取り扱っております。不動産業・宅建業で開業される方については報酬無料(実費のみ)で対応いたしますので、お役に立てそうであればぜひお声かけください。
この記事を読むとわかること
この記事を読むと、会社設立登記についてわかります。
その他の必要な手続きについては、別の記事で取り扱う予定ですので、興味のある方はブックマーク・Twitterのフォローなどしていただけると嬉しいです。
会社設立のために必要な手続
大きく分けると2つの手続きが必要となります。
1.公証役場での定款認証(合同会社であれば不要)
2.法務局での会社設立登記
まずやるべきことは定款と呼ばれる書類の案を作ることです。なお上記に「合同会社であれば公証役場での定款認証は不要」と記載しておりますが、合同会社であっても定款の作成そのものは必要です。
作成した定款について、株式会社の場合は公証役場での認証が必要です。これに対して合同会社では、作るだけでOKです。
ゼロから作るとけっこう大変です。しかしだいたい書くべきことは決まっていますので、ひな形を使用して、必要な部分だけ加筆・修正をしていきましょう。
会社設立シート
上記の会社設立シートは、私が実際にお客様との打ち合わせ時の、聴き取り用に使っているものになります。ここにある項目を決めていただければ、ごく一般的な内容の定款は作成することができます。一つずつ項目を見ていきましょう。
1.会社の商号
商号というのは要するに名前のことです。
株式会社任天堂とか株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントとか、これが会社の商号です。
2.本店所在地
本店というのは会社の住所のことです。
株式会社任天堂であれば、「京都市南区上鳥羽鉾立町11番地1」が住所、つまり本店所在地です。
3.会社の設立希望日
これは定款などに書くわけではありません。
ご依頼をいただく場合はおおよそのスケジュールを確認したいのでうかがっております。
合同会社であれば公証役場の予約などが必要ないので、最短即日に設立登記を申請することもできます。※筆者は実際に依頼をいただいた当日に設立登記の申請を済ませたことがあります。
一つ気をつけていただきたいのは、会社の設立日は登記を申請する日になります。
何が問題なのかというと、法務局が閉まっている、土日祝日・年末年始は設立ができないということです。
数字や日付にこだわりがあって、例えば「自分の誕生日に会社設立をしたい!」という方などもいらっしゃいます。
しかし今年の誕生日が土日であれば、その日に会社の設立をすることはできません。
このような場合は他の日にしていただくか、翌年以降で誕生日が土日でない年に設立をしていただくしかありません。
なお「1月1日に設立したいです」というご要望をいただくこともありますが、同様の理由から不可能です(1月1日は毎年法務局はお休みです)。
4.会社の目的
目的とは事業内容のことです。飲食業ですとか、不動産業ですとか。
ちなみに事業内容は「一般の方が見たときに意味がわかればよい」とされています。
「商業」とか「適法な一切の事業」などと書いている会社もあるようです。※「商業」は実際に見たことはありませんが、「適法な一切の事業」については、株式会社エーザイがこのような目的になっています。
第 3 条 本会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1.医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入
2.その他適法な一切の事業
https://www.eisai.co.jp/company/governance/cgregulations/pdf/articles.pdf
ただし公証人の先生によっては、「具体性を欠くので、これはちょっと……」とおっしゃる場合もあります。
その場合は公証人の先生の指示に従った方がスムーズだと思います。
それでもどうしても「適法な一切の事業」といった文言を使いたい場合は、何人か公証人の先生を当たってみて、「その内容で認証してあげるよ」という方を探してみるのも一つの手ではあります。
また宅建業など許可や認可が必要な業務の場合、定款にその事業をどのように書くべきかが決められている場合もあります。
決められた文言どおりでないと、許可を受けることができないこともあります。
事前によく調べるか、許認可業務を専門に扱う、行政書士・社会保険労務士の方に確認できると安心です。
5.発起人
発起人は会社設立時の株主のことです。
また合同会社の場合は「株」というものが存在しないので、「社員」という呼び名になります。
この社員は、いわゆる「会社員」のことではなく、株式会社の「株主」のような存在です。
ちなみに会社員や従業員のことは、法律上は使用人なんて言い方をします。
6.資本金
資本金は基本的には「株主が会社に出資した金額の合計額」になります。
例外はありますが、設立の時点ではあまり考えなくて良いと思います。
7.1株の金額(株式会社のみ)
幾らでも良いのですが、なんとなく1万円などキリの良い数字にすることが多いです。
資本金が100万円の会社だとすると、「1株1万円で、発行する株は100株」という感じになります。
1株の金額を大きくしたければ「1株100万円で、発行する株は1株だけ!」ということもできます。
逆に細かくしたければ「1株1円で、発行する株は100万株だ!」ということもできます。
好みで決めてしまって良いのですが、「いくらでも良い」と言われると決めづらいと思いますので、そういうときは1万円ぐらいにしておけばいいのではないかと思います。
8.発行可能株式総数
株を何株まで発行できるかということです。
これも定款を変更すれば枠を増やす、または減らすことができます。
ただこれを増減するためには費用や手間がかかるため、ある程度枠に余裕を持たせておいた方が良いと思います。
9.代表取締役・取締役・監査役(株式会社のみ)
役員です。代表取締役は取締役の中から選びます。監査役は取締役と兼任はできません。
なお合同会社の場合、株式会社の取締役にあたるのは業務執行役員です。この業務執行社員の中から、株式会社の代表取締役にあたる、代表社員を選ぶことになります。
10.役員の任期
就任から何年間の間、役員であり続けるかということです。
この期間を過ぎると、メンバーが変わらない場合であっても、再選の手続を取らなくてはいけません(重任と言います)。
基本的には長めにしておいた方が楽です。
例えば任期が2年ですと、役員のメンバーが変わらないとしても、2年ごとに「また同じ人を選び直しました」という内容の書類を作ったり、手続きをしないといけません。
ただ、途中で辞めてもらいたくなる可能性のある方がいるのであれば、あまり長くするのも考え物です。
11.取締役会を設置する・しない(株式会社のみ)
取締役会を置くと、会社の決定事項の一部を、株主総会ではなく取締役会で決定することができるようになります。設置するためには、最低でも取締役3名・監査役1名が必要になります。
12.会社の許可を得ない株式の譲渡について
基本的には制限をする形で大丈夫です。
上場会社などは制限がありませんが、そういった会社でなければ、ほぼ制限していると思っていただいてかまいません。
13.決算期
個人事業主の場合は1月から12月までという期間で見ます。
会社の場合は、何月スタートか(何月終わりか)を決めることができます。4月1日から翌年3月31日にしている会社が多いかもしれませんが、それに合わせる必要はありません。
決算期が来ると税務申告などをしないといけないので、なるべくその回数を減らしたいということであれば、設立日から最も遠い月を決算期にすることになります。
例えば8月に設立をするのであれば、7月末を決算期にすると、ほぼ1年後に最初の決算期がきますね。これを8月設立の8月決算期などとすると、設立して1か月もしないうちに最初の決算期がきてしまいます。
設立日からの遠さ以外の基準で決算期を選ぶとすると、「決算処理の準備が面倒だから、閑散期にあわせる。」「顧問税理士の先生に、比較的手が空いている時期を聞いてみる。」「経費の調整がしやすい時期を選ぶ。」などといった話は比較的よく聞きます。
これだけ決まれば定款は作れます
これらが決まれば、定款のひな形にそれを反映していきます。
一般的な内容の定款で良ければ、これでひとまず定款を完成させることができます。
下記に日本公証人連合会のWebサイトにある、記載例のURLを記載しておきます。
これを元に作成をすれば、大きな問題はないはずです。
ただ認証をして下さる公証人の先生によって、少しずつ見るポイントや考え方に違いがあったりします。
そのため、このひな形を利用した場合でも、若干の手直し程度は求められる可能性がありますことをご了承ください。
また定款は株主総会の決議で変更することができますので、変更したい点があれば後日変更することもできます。
ただしそれが登記すべき事項であれば、変更登記の手続も必要となってしまいます。
ご自身で手続されるとしても、登録免許税という費用が発生しますので、気軽にコロコロ変更するようなものではありません。
定款案ができたらどうするか?
定款案ができあがりましたら、まずは公証人にチェックの依頼をします。
一度電話をして、「会社の設立をしたいので、定款の認証をお願いできますか?」と聞いてみてください。
お願いする公証役場は、会社の本店所在地(住所地)と同じ都道府県内の公証役場であれば、どこでもかまいません。
スケジュールに無理がなければ、断られることはまずないと思います。
公証役場によって、FAXが良い・メールが良い・どちらでも良いなどと言われると思いますので、指示された方法で送信しましょう。
また定款案とあわせて、「実質的支配者となるべき者の申告書」という書類もあわせて送信が必要しておいた方が良いでしょう。
こちらも実際に定款認証をする際に必要となりますので、定款とあわせて公証人のチェックを受けることができれば安心ですね。
下記にひな形をダウンロードできるURLを貼っておきます
その後の流れ
定款案を公証役場に送信すると、早ければ当日、遅くとも翌日には連絡をいただけることが多いです。
混みあっている場合などは、もう少し日がかかる場合もあります。
電話やメールで「このままで問題ありません」とか「第何条をこのように修正してください」といった指示がなされます。
基本的にはそれに従って修正していくことになります。
あとは予約を取って、公証役場に出向くだけです。当日の持ち物については、公証人または公証役場の事務の方から案内があると思います。基本的には・運転免許証・印鑑証明書・実印・定款認証費用・空のCD-R(公証役場で用意してくれる場合もあります)などを持参します。
当日は通常15分から30分程度で終わります。ここまでで定款認証が終わりました。
少し長くなってしまったので、続きはまた別の記事で取り扱いたいと思います。
いかがでしたか
なんとなくのイメージは伝わったでしょうか?
手続の詳細などについては、別の記事であらためてご説明させていただいたいと思います。
もし何か気になる点などあれば、下記フォームなどからお気軽にご連絡ください。
この記事を読んでいただき、ありがとうございました。少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
不動産の手続なら、私におまかせください!